【インタビュー】Twitterに漫画を投稿すると起こるいいこと・悪いことって?ホラー漫画家・洋介犬に聞いてみた

【インタビュー】Twitterに漫画を投稿すると起こるいいこと・悪いことって?ホラー漫画家・洋介犬に聞いてみた

プロの漫画家が作品をTwitterに投稿すると、雑誌などとは違って読者のダイレクトな反応を受け止めることになります。投稿する側や漫画そのものにどんな影響を及ぼしているのでしょうか。

今回は『外れたみんなの頭のネジ』など多数のホラー漫画作品を発表し、Twitterにも漫画などを投稿しアクティブに活動している漫画家・洋介犬(@yohsuken)先生にお話を伺いました。

洋介犬
兵庫県丹波市出身。ギャグ漫画家としてデビューするが、後に幼少より好きだったホラー漫画家に転身。
自身の怪談漫画ブログ「イヌギキ」で連載したWEB漫画『誘怪犯』シリーズが累計4000万PVを記録したのを皮切りに多くのホラー漫画を発表している。現在『外れたみんなの頭のネジ』(「GANMA!」にて連載)『インガ様応報す』(「コミクリ!」にて連載)『カブリモン・テラー』(竹書房「本当にあった愉快な話」にて連載)を執筆中。

――2009年8月からTwitterを開始されてますが、Twitterを利用するようになったきっかけは何ですか。

最初は「なんだか流行り始めているらしい」レベルでした。
「なうって…」とナナメに構えて見ていたほどだったので、あまり重視はしていませんでした。

――最初はTwitterをあまり重視していなかったのですね。先生がTwitterを利用し続ける理由は何でしょうか?

はっきり言うと商業宣伝です。あとはブログ全盛の時代ではなく、SNS全盛になったので、Web漫画のメインプラットフォームをTwitterに移行させたという感じでしょうか。
風刺漫画も描いていますが、これに関して「洋介犬は最近になってそういう作品を描き始めた」とよく言われるのですが、実は学生時代から描いていた経緯があります。

洋介犬先生の風刺漫画の代表作・『コメンテーターエンドウさん』シリーズ

その頃はそういう風刺漫画の受け入れ先がなかったのが、Twitterなどの普及で「あってもおかしくないジャンル」化した、という感がありますね。

ひと昔前、4コマ漫画やショート漫画は「オチがギャグでなくてはいけない」的な強迫観念がありました。「(オチがギャグでなくとも)なんとなくいいよね」がTwitterなどで「ありだな」となったのは、漫画業界全体に与えたささやかな影響であるという気がします。

――先生がTwitterを利用するのにはそういった背景があったのですね。先生はTwitterによく自身の漫画をアップロードしていますが、それに対するうれしい反応とうれしくない反応はありますか?

うれしい反応はやはり「面白かった」ですが、僕の人生の幸福として「人の心に遺(のこ)る」があります。なので、どんな形にせよ「忘れられない漫画になった」という反応はうれしいですね。

ファンのみならずTwitterユーザーから評価が高く、洋介犬先生自身もお気に入りだという作品


ーーうれしくない反応は、うれしくないというか、対応に困る反応のほうが多いでしょうか。

誤解がないように演出を細かくしたり、補足セリフを入れたりしても、それをスルーした上で誤解されてしまうこともあります。僕と真逆の考え方なのに旗頭にされそうになったこともあって、漫画って受け取り方が多面的なメディアなのだと再認識しますね。

受け取り方によっては思想の旗印にしてしまう人もいそうなこちらの作品

――漫画に対する反応は人それぞれで、それが面白くもあり、困ることもあるということですね。Twitterでは漫画をアップするだけではなく、先生はハッシュタグを作成して、それがトレンド入りしたりしていますが、ずばり、ハッシュタグ作成で一番の楽しさとはなんですか?

やはり普通に盛り上がるとうれしいですが、それは純粋に「遊び場作ったらみんなで遊んでくれた」感覚ですね。「イソノ〜野球やろうぜ」とそんなに違わないというか(笑)。集合知で思わぬ知識を得られることもとてもいいですよね。

洋介犬先生はこういったハッシュタグを作成し、自身でツイートを重ねて、それがたくさんの人に広がって盛り上がることも。

――先生のTwitterの活用法がよく伝わってきました。ありがとうございます。先生は12月に『インガ様応報す』の単行本を出版されるそうですが、見どころはどこですか。

近年までの世間の潮流として「善なんてダサい」「勧善懲悪なんてありえない」というものがあったと思います。それがテレビ番組やTwitterにおいて、「悪いことをしたものは悪いんだ」という本来正当だった主張が力を持った気がします。


僕もホラーを描くにおいて「不条理ホラー」、つまり「落ち度がなくても酷い目にあう」ものを描いていました。ですが、元々ホラーは「悪いことをすると恐ろしい目にあうぞ」という側面が古来からあり、それが凋落していた面があったことに着目し、それを凝縮したのが新作『インガ様応報す』となります。

万引き・痴漢・パワハラ・いじめ…ぜひ「悪いやつが酷い目にあう」という「真っ当な」ホラーをかえって新鮮に楽しんでいただければ幸いです。

「インガ様って知ってる?」ネットで広がり始めたその怪異とは「悪人を罰する必罰の存在」人は忘れていた。この世には因果応報の理があることに…。新感覚報復ホラーコミック登場!

『インガ様応報す』単行本第1巻は12月に講談社より発売されます。

▼『インガ様応報す』試し読みはこちら▼

https://kodansha-cc.co.jp/series/ingasama/

※この記事のツイートと画像は洋介犬(@yohsuken)さんの許可を得て掲載しています。